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学術翻訳・論文支援の事例

翻訳研究室の中核は、哲学・人文社会科学を中心とする日英学術翻訳と、投稿前の原稿再構成・英訳から査読後の改訂までを扱う論文支援です。

専門用語を別の言語へ置き換えるだけではなく、分野固有の文章規範、概念間の関係、論証の提示順序、主張の強さまで確認します。

以下は、実際に担当した案件を、守秘義務に配慮して一般化した事例です。過去に翻訳会社を通じて担当した案件を含みます。著者名、所属、論文名、投稿誌、研究テーマ、時期など、案件の特定につながる情報は掲載していません。

掲載している成果は、実際に確認できる範囲に限定しています。採択や出版を保証するものではありません。

哲学分野の学術論文――概念と論証を保持した日英学術翻訳

依頼内容

哲学分野の学術論文の日英翻訳

依頼時の課題

哲学論文では、専門用語を一貫させるだけでは不十分です。日本語では文脈から理解できる前提が、英語では明示を必要とする場合があります。また、日本語の語順や説明順序をそのまま移すと、定義、区別、主張、根拠、反論への応答の関係が読み取りにくくなることがあります。

実施した作業

主要概念の対応関係を確認しながら、議論の前提、主張、根拠、限定、反論への応答が英語でも追えるように翻訳しました。

必要に応じて、長い修飾関係や省略された主語を整理し、原文の意味を変えない範囲で、英語論文として理解しやすい文構造と提示順序へ調整しています。

また、断定、示唆、可能性、留保といった主張の強さを区別し、原著者の立場を英語で過度に強く、または弱く表現しないよう配慮しました。

結果

原文の概念的な区別と論証の流れを維持しながら、英語圏の読者が議論を追える形で納品しました。

過去に翻訳会社を通じて担当した案件を含むため、著者名、論文名、投稿先、個別の研究テーマは公開していません。

学術原稿再構成・英訳支援
――概念体系と研究文脈の再構築から査読後の改訂まで

依頼内容

日本語で執筆された哲学論文の学術原稿再構成・日英翻訳、および査読後の回答方針整理・本文改訂

原稿の背景

論文が扱っていたのは、日本国内では著名である一方、英語圏では研究の蓄積や定訳が限られている哲学者でした。

その哲学者の主要な用語は、一般的な語義とは異なる固有の意味で用いられ、概念同士も独自の体系を形成していました。そのため、各用語を英語へ置き換えるだけでは、英語圏の読者や査読者が、概念の区別、相互関係、論証上の役割を把握することが困難な状態でした。

投稿前の課題

原稿には著者の問題意識と中心的な主張が示されていましたが、英語圏の読者が共有していない概念上の前提を、原稿内で改めて説明する必要がありました。

また、原稿は日本語文献を多く参照しており、日本国内の研究蓄積との関係は示されていました。一方で、英語圏の査読者が参照できる先行研究との接続や、国際的な研究動向の中でこの論文がどの議論を引き継ぎ、何を新たに提示するのかが、十分に見えにくい状態でした。

日本語原稿の各文をそのまま英語へ置き換えるだけでは、概念体系の説明が不足するだけでなく、論文の新規性と学術的な位置づけも伝わりにくくなる可能性がありました。

投稿前に実施した作業

主要概念を抽出し、それぞれについて、一般的な語義との違い、その哲学者の体系内での固有の意味、他の概念との関係、論証上の役割を整理しました。

英語圏の読者が日本語圏の背景知識を持たなくても議論を追えるよう、原文では省略されていた概念上の前提を補い、用語を初めて導入する箇所では必要な説明を加えました。単語ごとの定訳を決めるだけでなく、論文全体を通して一つの概念体系として理解できるよう、説明の順序と段落構成を再検討しています。

日本語文献については一律に削除するのではなく、論証上不可欠な文献は残しました。そのうえで、英語圏で参照可能な先行研究を中心に、先行研究セクションと本文の議論を再構成しました。

単に引用文献を置き換えるだけではなく、英語圏でどのような議論が行われてきたかを踏まえ、既存研究との関係、論文の新規性、著者の主張が明確になるように書き換えています。

さらに、論証の前提、中心的な主張、各節の役割、結論へのつながり、図表と本文の対応を整理し、原著者の問題意識と理論的主張を維持しながら、英語圏の読者が論文全体の構造を追える形へ原稿を再構成して英訳しました。

査読後の課題

投稿後、査読者から、個別の表現修正だけでは対応できない本質的な修正を求められました。

査読コメントからは、英語圏で共有されていない背景知識と概念上の前提について、さらに明示的な説明が必要であることが分かりました。

複数のコメントが、概念の定義と区別、概念間の関係、論証の順序、図表と本文の対応、論文全体の構成にまたがっており、回答文だけを整えても、実際の本文改訂と整合しない状態でした。

査読後に実施した作業

査読コメントを論点別に整理し、それぞれに対する回答方針を検討しました。

そのうえで、査読者が混乱した概念について、一般的な語義との違い、その哲学者の体系内での意味、他の概念との関係、論証上の位置づけが伝わるよう、本文中の説明を拡充しました。

概念間の関係、論証の前提と結論、段落の配置、図表と本文の対応、関連文献の位置づけも再度見直し、査読者への回答内容と実際の本文修正が一致するように改訂を支援しました。

単に査読回答を英訳するのではなく、どのコメントに対して、本文のどこを、どのような理由で修正したのかが明確になるよう、回答文と論文全体を対応させています。

この支援の特徴

この事例で行ったのは、専門用語の翻訳だけではありません。

英語圏で十分に共有されていない哲学者の概念体系を原稿内で説明し、日本語文献を中心としていた議論を、英語圏で参照可能な先行研究との関係が見える構成へ組み直しました。

さらに、投稿前の原稿再構成と英訳、査読後の概念説明の拡充、回答方針の整理、本文の大幅改訂を、著者の主張を一貫して伝えるための学術支援として実施しました。

これは原文の内容を別の主張へ変更するものではなく、著者がすでに持っている問題意識と理論的主張を、国際的な研究文脈の中で理解・評価できる形へ整えるための支援です。

結果

改訂稿はその後、国際査読誌に採択されました。

掲載している成果は、この案件で実際に確認できる結果です。採択や出版を保証するものではありません。

守秘義務のため、研究分野、哲学者名、誌名、著者名、論文題目、採択時期、具体的な概念、文献、図表、査読内容は公開していません。

その他の対応事例

日本語原稿と照合した英文校正――意味のずれと論理接続の修正

依頼内容

研究者が英語で執筆した論文の英文校正

依頼時の課題

英文だけを見ると文法的に成立していても、日本語原稿と照合すると、主張の範囲、因果関係、指示対象、専門用語の意味がずれている場合があります。また、日本語では自然な論理接続が、英語では十分に示されていないこともあります。

実施した作業

英語原稿を日本語原稿と照合し、単なる文法修正にとどまらず、原著者が意図した意味が英語に反映されているかを確認しました。

意味のずれ、不明確な代名詞、過度に強い断定、弱すぎる主張、段落間の論理接続、専門用語の不統一を修正し、日本語原稿と英語原稿の内容が対応するように整えました。

結果

原著者の意図を維持しながら、英語論文として読みやすく、主張と根拠の関係が明確な原稿へ改善しました。

著者名、所属、論文名、研究テーマ、投稿先は公開していません。

これまでに取り扱った原稿

2015年以降、学術論文・要旨を中心に、200件以上の学術翻訳を担当してきました。この件数は主として翻訳実績を指し、英文校正、査読対応、論文改訂支援は別に扱っています。

これまでに、哲学・人文社会科学のほか、精神医学を含む医学研究分野の学術論文や要旨を取り扱っています。

個別案件の詳細は守秘義務のため公開していませんが、見積もり時には、原稿の分野、種類、作業範囲を確認したうえで対応可否をお伝えします。

どのサービスを選べばよいか分からない場合

翻訳、英文校正、査読対応のどこから依頼すべきか分からない場合でも、原稿の状態と現在の課題を確認したうえで作業範囲を整理します。

日本語原稿を英語にする場合は学術翻訳、英語で執筆した原稿を整える場合は英文校正、査読コメントへの回答と本文改訂を進める場合は査読対応・研究支援が基本となります。

複数の作業が必要な場合は、翻訳、英文校正、論証構造の整理、査読対応を組み合わせて見積もります。

原稿の分野と現在の課題をお知らせください

初回のご相談では、原稿の分野、原稿の種類、文字数または語数、希望納期、投稿・出版の段階をお知らせください。原稿や査読コメントを確認し、必要な作業範囲をご案内します。