翻訳研究室が選ばれる理由
「英語として自然」と「学術的に正確」は、同じではありません。
学術翻訳、とくに哲学・思想を中心とする研究では、英文が自然であることだけでは十分ではありません。日本語原稿で使われた概念の意味、論証上の役割、日本語圏で共有されてきた研究文脈まで理解したうえで、英語圏の読者に伝わる形へ組み直す必要があります。
翻訳研究室では、学術翻訳(日英・英日)を中心に、必要に応じて原稿再構成や査読後改訂まで一貫して支援します。
大手の工程を知っているからこそ、変えたかったこと
代表自身、海外系大手の学術翻訳サービスで実際に翻訳業務に携わってきました。そこで採用されていたのは、翻訳者、品質確認担当、英文Editorなどを分ける分業型の工程です。
実際に携わった業務では、翻訳・編集スタッフの多くがインドを含む海外人材で、英文Editorは日本語能力を前提としない別の採用枠でした。Editorは英語としての自然さ、文法、語法、学術スタイルを高度に確認できます。
しかし、日本語原稿に戻り、ある言葉が一般語なのか、特定の哲学者・思想家に固有の概念なのか、その概念が日本語圏の研究でどのように理解されてきたのかまで確認する役割ではありません。
ここで問題にしているのは国籍ではありません。採用要件、日本語能力、分業構造、専門知識、調査範囲の違いとして説明します。
翻訳研究室では、日本語原稿、関連する日本語文献、概念体系、論証構造、そして最終的な英語原稿を同じ担当者が確認します。単に英文を自然にするのではなく、「何を主張している論文なのか」を日本語の段階から理解したうえで、英語圏の読者に伝わる形へ組み直します。
なぜ哲学・思想の翻訳では、この違いが重要なのか
哲学・思想を中心とする学術研究では、日本国内では著名でも、英語圏では研究蓄積が非常に限られている哲学者・思想家がいます。
日本国外の翻訳者・Editorにとって、日本語原典、日本語による研究論文、国内の思想史的背景を継続的に読むことは、通常の業務要件ではありません。そのため、一般語と固有概念の区別、同じ語の思想家固有の意味、概念同士の関係、日本語圏では共有されている前提、英語圏では共有されていない研究背景が見落とされる可能性があります。
専門用語を一貫した英訳へ置き換えるだけでは、哲学・思想系の学術翻訳として十分とは限りません。
英語として自然な文章になっていても、原文より主張が強くなったり、概念間の区別が失われたり、論証上の役割が変わることがあります。日本語原稿の読解と、哲学・思想を中心とする研究文脈の理解が、品質の分かれ目になります。
翻訳研究室では、何が違うのか
日本語原稿を直接読める
英語だけを見るのではなく、日本語の表現、含意、概念的な区別へ戻って確認します。著者の主張が英文上でどう読まれるかを、日本語原稿と照合しながら検証します。
哲学・思想を日本語圏の文脈から読む
固有概念、日本思想、思想史、日本語文献を含め、その議論がどの研究文脈に位置づくかを確認します。英語圏の読者にとって自明でない前提を、原稿内で適切に説明できるかも見ます。
一つの原稿に必要な調査時間を投入
必要に応じて原典、先行研究、英語圏での用法まで確認し、単なる訳語検索では処理しません。用語の選定理由を、原著者と共有できる形で整理します。
翻訳で終わらない
概念体系、論証構造、先行研究の位置づけを整理し、必要に応じて投稿前の原稿再構成から査読後改訂まで扱います。学術原稿再構成・英訳支援も、この一環として提供しています。
同じ「翻訳」でも、作業範囲が違います
料金差は、同じ翻訳を高く売っているためではありません。
大規模な学術翻訳サービスは、標準化された工程によって多数の案件を効率的に処理することに強みがあります。一方、翻訳研究室では、必要に応じて日本語原稿だけでなく、関連文献、固有概念の用法、英語圏の先行研究、論証構造まで確認します。さらに、原稿再構成が必要な場合には、著者との確認・協議を重ねながら英語論文としての構成そのものを検討します。
料金の違いは、一つの原稿に投入する専門知識、調査時間、著者との協議、そして担当する責任範囲の違いです。